認知症患者の周辺症状への対応として用いられることがあるお薬
以下の薬剤が 周辺症状対処として 用いられやすいお薬です。漢方薬の抑肝散などもありますが、他は もともと 統合失調症などの 興奮症状を抑えるお薬で抗精神病薬に分類されるものが多いようですが、睡眠薬的な効果を期待して用いられることもあります。ちなみに、抗精神病薬の投与で高齢者の死亡率が高くなるという米国のデーターもありますが個々のお薬については、慎重になる先生とそれほどではない先生とに分かれます。 認知症の高齢者への適用される、精神系のお薬は「睡眠導入剤」のお薬と同様に多いのが「統合失調症」のお薬です。ついで、睡眠効果も合わせて期待して「抗不安、抗うつ薬」などです。どのお薬も、せん妄や徘徊、興奮や妄想を抑えて、穏やかな自分を戻しやすくする効果を狙っての服用となります。
興奮などを抑える薬 | リスパダール、セロクエル、エビリファイ、抑肝散、 ジプレキサ、グラマリール |
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高齢者への睡眠導入剤の適用
ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤の高齢者への使用は 認知症になるリスクを高めるという報告もありますが、すでに ある程度認知症が進行している高齢者の周辺症状に適用する場合、そのデーターがどの程度意味あるものなのかはわかりません。一方 睡眠薬の服用と認知症の発症には 何ら関係がないという医者、学者もいます。しかしながら ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤には 副作用として ふらつきなどがあるため 転倒などの危険を増す点 耐性が生じやすい薬剤である点などからも 使用する場合には 短期にするべきだという意見も多くあります。というわけで 下記に ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の睡眠効果を期待できる薬剤の一覧を下記に示しています。
ベンゾジアゼピン系とそれ以外の系統の睡眠導入剤(ただし 向精神薬 抗精神病薬、抗うつ薬などでも 催眠鎮静効果があり、睡眠効果が十分にでるものが用いられる場合があります)
睡眠効果が得られる薬剤一覧です。(高齢者 or 一般成人でも)作用時間 | 商品名 | 一般名 | 消失半減期[時間] | 臨床用量[mg] |
超短時間作用型 | ハルシオン ▽ | トリアゾラム | 2~4 | 0.125~0.5 |
アモバン 入眠効果などは高い。向精神薬の指定はなかったのですが、2016年秋より向精神薬にカテゴライズされて 規制がきつくなりました。2001年に販売開始されています。 ※非ベンゾジアゼピン系ですが 作用機能はベンゾジアゼピン系と類似しているともいわれ かなり耐性ができやすいという人もいます。 |
ゾピクロン | 4 | 7.5~10 | |
マイスリー ※非ベンゾジアゼピン系 |
ゾルピデム | 2 | 5~10 | |
セロクエル ※非定型抗精神病薬で統合失調症に用いられ、睡眠導入剤ではないが、睡眠導入効果を狙って使用されることも多数ある。認知機能を改善し、老人の夜間せん妄にも効果がある可能性があるともされる。鎮静睡眠薬としては 効果の強く現れる人とそうではない人の両者が存在する。 |
クエチアピンフマル酸塩 | 3.5~6 | ||
短時間作用型 | デパス(安定剤)▽ 向精神薬の指定はなかったのに、睡眠導入剤として優れていたのでに重宝されていましたが2016年秋より向精神薬になり、規制がきつくなりました。抗不安薬として分類される。ベンゾジアゼピン系となります。海外製のジェネリックなどが 個人輸入代行通販でも流通していましたが、向精神薬への指定変更でこういった流通は禁止となりました。 |
エチゾラム (エチラーム) |
6 | 1~3 |
レンドルミン ▽ | ブロチゾラム | 7 | 0.25~0.5 | |
リスミー ▽ | リルマザホン | 10 | 1~2 | |
エバミール・ロラメット | ロルメタゼパム | 10 | 1~2 | |
中間作用型 | エミリン | ニメタゼパム | 21 | 3~5 |
ロヒプノール・サイレース | フルニトラゼパム | 24 | 0.5~2 | |
ユーロジン | エスタゾラム | 24 | 1~4 |
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ベンザリン・ネルボン▽ | ニトラゼパム | 28 | 5~10 | |
長時間作用型 | ダルメート | フルラゼパム | 65 | 10~30 |
ソメリン | ハロキサゾラム | 85 | 5~10 | |
ドラール | クアゼパム | 36 | 15~30 | |
超短時間作用型 | ベルソムラ※非ベンゾジアゼピン系でオレキシン受容体拮抗薬という新しいタイプの睡眠導入剤 2014 後半より承認されたベンゾジアゼピン系のような依存性や耐性はなくその程度はマイスリー程度とされる ▽ | スボレキサント | 10~12 | 15~20 |