適度なストレスは人間の成長ややりがいには必要だが
適度なストレスは 人間が活動するとき、前向きな意味で、より刺激となりエネルギーの源となります。しかし、これが過度や長期にわたるストレスとなると、心が疲れてきます。しいてはうつ病を引き起こす原因となります。
ハンス・セリエの唱えたストレスの3段階
ハンス・セリエ(ハンガリー系カナダ人の生理学者)はストレス学説を唱え、ストレッサーの生体反応を明らかにしました。
- 警告反応期(パニック期)・・・外部からのショックに対し、警告を発し、ストレス状態から回復しようと、さまざまな緊急的反応が起こります。体温や血糖値、血圧などが一時的にさがり、筋肉の緊張、神経系の活動が抑制されます。しかし、その後、加わったストレスへの適応反応が始まり、血糖値、体温、血圧なども上昇し、筋肉、神経系の活動も活発になります。
- 抵抗期(ハッスル期)・・・この時期は、ストレスへの適応反応が完成するステージと考えてよいでしょう。ストレス状態が継続すると、神経系や内分泌、免疫系が働き、ストレスに打ち勝とうとするため、通常よりも、さらに抵抗力が高まります。心身が必死にストレスに対して 屈服されまいとする時期なのです。
- 疲弊(ひへい)期・・・この段階になると いわゆる 「うつ」の状態といえるかもしれません。長引いたストレス状態で それに対する抵抗力がなくなり、精神的にも体力的にも追い詰められたような状態になり、体にもさまざまな障害がでるようになります。最悪の場合には 自殺や死を意識するようになる場合もあります。
初期のストレスによってもたらされる主な症状
セリエが唱える「警告反応期」では まだ ストレスの状態としては軽いほうで、本人は意識上はストレスを感じていない場合も多いとされますが、表面上精神的にはさほど疲れていないようであっても、身体的には 次のような警告サインを出していることがあります。
- 疲れやすくなった(疲れがとれない)
- 何となく体調が悪い
- 頭が重い
- 目や肩が疲れたり、凝りやすい
- 食後 胃がもたれる
- イライラすることが多くなった
- 物忘れが多くなった
- 朝の目覚めがすっきりしない
これらのストレス症状の多くは、心身のストレスによる負担が解消しきれなくなり始めている現われと考えられます。 この状態は 原因が 解消されれば、症状も自然に消滅しますが、同じ状況が続いたり、さらに過度になると 症状も より 重くなっていきます。
ストレスの慢性化によりもたらされる症状
大多数の人は それほどストレスがかかっているという自覚のないまま、次第に心の疲れがとれ、体の不調も改善されますが、そのまま疲労が蓄積していくと、体調は次第に悪くなってきます。ストレスが慢性かしていくと、次のような症状がでることがあります。
- 疲れやすくなった(疲れがとれない)
- 何かしたり、変化を起こしたり、行動を始めるとすぐに疲れる
- おなかが張ったり、下痢や便秘がよくある
- ささいなことでイライラしたり 腹が立つことがある
- 人とわざわざ会いたいとは思わなくなる
- 口内炎ができる
- 深夜に目が覚める
- 好物でも食欲がなくなる
- 最近体重が減った
ストレスが慢性的になった人に現れる症状は ストレスによって 体と心が大きな影響、プレッシャーをうけることで 心身の余裕がなくなったことを現しています。