HOME » 抗うつ薬について

うつ病の薬物治療として 基本的には中心となる分類のお薬です。その中でも大きく分類すると三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRI NaSSAなどに大分類できます。


抗コリン作用ついて

自律神経には、心臓を動かしたり 内臓の働きを活発にする「交感神経」と逆に抑制する「副交感神経」とがあります。自律神経の働きは この2つのバランスによって調整されています。両者は状況を判断して、一方が優勢、もう一方が劣勢となりながらも、トータルでは バランスをとっています。興奮すると 副交感神経の末端からアセチルコリンという神経伝達物質が分泌されますが、抗うつ薬には そのアセチルコリンの働きを抑制する働きがあります。ですから 抗うつ薬を服用した場合に出やすい副作用としては、副交感神経の働きの、腸の運動や唾液の分泌などを抑制しすぎてしまうため、便秘、口の渇き、眠気や注意力の低下 かすみ眼、頻尿などが怒りやすくなります。このような メカニズムで起こる薬剤による副作用一般を 「抗コリン」作用といいます。

三環系抗うつ薬

1950年代に登場したもっとも歴史の古い抗うつ薬で 第一世代の抗うつ薬と呼ばれています。その化学式の構造に3つの環があることから この名前が付いています。三環的抗うつ薬は 神経伝達物質のセロトニンとノルアドレナリンの働きを高める作用があります。 しかしながら、副交感神経に関係するアセチルコリン(神経伝達物質)の働きを抑制しますから、さまざまな副作用が 比較的出やすいのが欠点といえるでしょう。さらに、三環系抗うつ薬は 効果が表れるまでに1~2週間かかることも多いため、副作用のみが、先にでてくるため満足が得られずに不満だけが最初に感じる人もあるでしょう。比較的古いが歴史のあるうつ改善薬なのですが、いまだに、うつ病には多く用いられています。それは 最終的な うつ改善率が かなり高い7~8割以上だからです。短期的な効果よりも、長期的でも確実に、意欲や気分を高め、焦燥感を鎮めようとするから この系統のお薬が選択されやすいのです。

 主な 三環系抗うつ薬にはイミプラミン(商品名 トフラニール)クロミプラミン(商品名 アナフラニール)アミトリプチン(商品名 トリプタノール)などが代表例です。これらの薬剤の 主な副作用は 上記に解説した、抗コリン作用に由来するものがほとんどです。 

 三環系抗うつ剤の中には、 夜尿症やパニック障害、強迫性障害などにも用いられるものも複数あるので、それぞれの成分をよく調べておきましょう。

 三環系抗うつ剤の それぞれの作用特性の微妙な違い。
理論上はセロトニンが落ち込みや不安を改善させ、ノルアドレナリンが意欲を改善させると考えられています。
※ トリプタノールはセロトニンとノルアドレナリン両方を増やし トフラニールやノリトレンはノルアドレナリンを優位に増やす  アナフラニールはセロトニンを優位に増やすといわれていますから、アナフラニールなどは 強迫性障害、パニック障害などにも用いられるなど 多少使い分けられやすいのでしょう。

四環系抗うつ薬

三環系抗うつ剤の 比較的多い副作用を なるべく少なくするように改良された第二世代の抗うつ薬で、その化学式構造に4つのベンゼン環があるため 四環系抗欝剤といいます。副作用は 少ないのですが、その治療効果は 前世代の三環系のものよりも いくぶん弱めともいわれています。継続して服用しても 激しい副作用が やや軽減されたものを選択する人にとっては こちらが選択しやすいかもしれません。代表的なお薬としては ミアンセリン(商品名 テトラミド)がありますが これは 少量で高齢者のせん妄治療や睡眠薬として用いられることがあります。

SSRI

海外では1980年代から使われている 第三世代の抗うつ薬です。そのメカニズムの特徴から「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」ともいわれ、選択的に作用するために、副作用が極めて抑えられているというのが 開発者 販売者側のうたい文句です。実際 抗コリン作用による副作用が少なく、また 依存性の心配もないともいわれています。ただし、効果が表れるもでに2~4週間かかることや 人によっては さらにかかる人もいます。そのため、その他の 即効性のある抗不安薬などと併用されて服用をする人も多くなっています。

主な薬剤 フルボキサミン(商品名 ルボックス、デプロメール) パロキセチン(商品名 パキシル) セルトラリン(商品名 ジェイゾロフト ゾロフト)

SNRI

SNRIは 「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」といい、2000年に発売された第四世代の抗うつ薬です。SSRIが セロトニンにのみ作用するのに対してこちらのSNRIはセロトニンとノルアドレナリンの双方に作用するので、より高い、効果が期待でき、さらに薬の効き始めるまでの期間を短縮できるとされています。

NaSSA

ナッサ=NaSSAは「ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動抗うつ薬」といい、2009年に認可された かなり新しい抗うつ薬です。その 作用機能のメカニズムは 複雑ですから ここでは 省きますが、 日本での臨床試験においても、最初から、高い効果が表れ、52週までの長期にまで、この効果が持続したといわれています。NaSSA は 従来の抗うつ薬に比べて、効果が早く表れ、効果が持続する抗うつ薬として期待されています。

主な商品としては(ミルタザピン 商品名 リフレックス レメロン)です。副作用としては 倦怠感、眠気、体重増加などです。

抗うつ剤の効果の強さや用途などの比較

抗うつ剤の 抗うつ効果の強さで比較すると、まず最も強いのが、三環系といわれます。その強さを 比較すると次のようだろうという 説が有力です。

最強  三環系

強  SSRI  SNRI    NaSSA  

中  スルピリド

弱  四環系

■用途・・四環系 や NaSSA  は 効果そのものは弱めですが 副作用としての眠気がありますが、眠りの質を高める効果もあるとされ、むしろ 睡眠導入薬としての用いられ方をする場合が多いようです。

※ SSRI系のお薬について、 比較的長期間服用しないと 効果がないとされていますが、その場合、急に中断すると かなり やっかいな禁断症状がでるという方がいます。また ネット TVなどでも SSRI投与中の方が とづぜん その人の本性とは比較にならないほどの攻撃性をだしたり、日本だけでなく 米国などでも重大な発作的な犯罪行為にいたるということが報道されています。大量服用や急な断薬などをしないように、計画的な服用が重要となります。

その他の抗うつ効果のあるお薬

抗精神病薬 抗うつ病薬として分類されないですが、よく用いられる薬として
スルピリド(商品名、ドグマチール、アビリット、ミラドール)
 

  こちらは 小用量で用いる場合と 高用量で服用する場合で、効能、副作用などがかなり変わってきます。小用量では 胃潰瘍の薬となり、中程度では 抗うつ 抗不安作用などもあります。副作用が少ないので、高齢者のうつ病などにも用いられます。その場合には 他の不安薬と併用されることもあります。

トラゾドン(商品名 レスリン、デジレル)

 抗うつ作用は弱めですが、抗不安作用、催眠効果が期待される薬剤です。 比較的軽い鬱病に適すと言われ、副作用も軽減。


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